外国税額控除の基礎を簡単に解説 | kandtax

外国税額控除の基礎を簡単に解説

外国でビジネスを展開する企業の経理担当者にとって、外国税額控除の知識はなくてはならないものです。今回は、外国税額控除の基礎を簡単に解説します。

外国税額控除とは?

外国税額控除とは、日本の法人税額の計算の過程で、外国で課された税額を控除(マイナス)できる制度です。「外国で課された税額」は様々ありますが、代表例は配当金に対する源泉徴収税額や、ロイヤリティ(使用料)に対する源泉徴収税額です。たとえばタイの子法人から日本親法人がロイヤリティの支払いを受ける際、支払額の15%がタイ側で源泉徴収されます。

外国税額控除の制度趣旨は?

日本の法人は、全世界で稼いだ所得に対して日本の法人税を課されます(これを「全世界所得課税方式」といいます)。たとえば、日本の法人がタイの子会社から10億円のロイヤリティを収受した場合、10億円の収入から原価を引いた金額が日本の法人税の課税所得となります。一方、上述したとおり、タイの子法人から日本親法人に支払われるロイヤリティの額にはタイ側で15%が源泉徴収されるため、1.5億円がタイ側で課税されます。

こうして見ると、同じ取引について日本側・タイ側の双方で課税がされていることが分かります。これでは同じ所得に対して二重課税が生じているため、これを調整する必要があります。その調整方法が「外国税額控除」です。

外国税額控除の効果は?

法人税の課税所得に税率を乗じた金額(差引法人税額)から、一定の方法で計算した外国税額(控除外国税額)を控除することができます。たとえば、差引法人税額が1,000万円で控除外国税額が200万円だった場合、その法人のその年度の法人税の額は1,000万円から200万円を引いた800万円と計算します。

控除外国税額の計算式は?

次の数値例に沿って説明します。

  • ロイヤリティの支払いを受ける際にタイで源泉徴収された額:1,500万円
  • 差引法人税額1億円:
  • 当期の所得金額:2.3億円
  • 国外源泉所得に係る所得金額:1億円
控除外国税額の計算式は次のとおりです。
控除対象外国法人税額(実際に課された外国法人税の額)と控除限度額の小さい方
控除限度額の計算式は次のとおりです。
差引法人税額×当期の国外所得金額(※)÷当期の所得金額
(※)当期の国外所得金額は次のいずれか小さい方。
・国外源泉所得に係る所得金額
・当期の所得金額×90%

上記の数値例を数式に当てはめます。

STEP.1
当期の国外所得金額を計算する
国外源泉所得に係る所得金額は1億円、当期の所得金額(2.3億円)×90%=2.07億円なので、小さい方の1億円
STEP.2
差引法人税額に当期の国外所得金額を乗じ、それを当期の所得金額で除す
1億円×1億円÷2.3億円=0.434782…
STEP.3
控除限度額を求める
0.434782…×1億円= 43,478,260円
STEP.3
控除対象外国法人税額と控除限度額を比べる
15,000,000円< 43,478,260円∴15,000,000円

以上から、控除外国税額を算定できました。この事例では、国外所得金額が多かったためタイで課された外国法人税額が全額控除することができます。

留意事項(外国法人税額の損金不算入)

外国税額控除を適用する場合、控除対象外国法人税額は全額損金不算入であることに注意してください。「外国税額控除で二重課税が排除できたのに、さらに外国法人税額を損金するのはやりすぎ」という趣旨からの規定です。なお、外国税額控除を適用しなかった場合、外国法人税の額は損金算入できますが、「税額」を減らすのと「所得」を減らすのでは、一般的に「税額」を減らす方が有利であるため、差引法人税額が十分ある場合には外国税額控除を選択するのがベターです。